← 技術紹介(目次)へ戻る

「圧着」でなぜ電気が通るのか?

「圧着」とは、金属の端子と電線の導体(銅線など)を専用の工具で強固に押し潰し(加締め:かしめ)、接合する技術です。
単に潰して固定しているように見えますが、実は適切な圧力が加わることで、金属同士がミクロのレベルで擦れ合い、表面の酸化膜が破れて新しい金属面同士が密着する「冷間溶接(常温で金属が一体化する現象)」に近い状態になります。これにより、非常に低い電気抵抗と高い物理的強度を実現しています。

圧着端子の2つの重要な構造(バレル)

一般的なオープンバレル型の圧着端子には、電線を固定するために役割の違う2つの「ツメ(バレル)」が備わっています。

1. ワイヤーバレル(芯線圧着部)

電線の被覆を剥がした「導体(芯線)」部分を直接包み込んで押し潰す部分です。
電気が通る最も重要な接点であり、導体が隙間なく変形して端子と一体化することで、確実な導通を確保します。

2. インシュレーションバレル(被覆圧着部)

電線の「被覆(ビニール部分)」を包み込んで固定する部分です。
ここをしっかり固定することで、使用中に電線が引っ張られたり振動したりした際に、ワイヤーバレル(芯線部分)へ直接負荷がかかり、断線してしまうのを防ぐ役割があります。

圧着工具(アプリケータ)と品質管理の要

どれほど良い電線と端子を使用しても、それを潰す「工具」の精度が低ければ不良品となります。量産加工においては、自動機に取り付ける金型である「アプリケータ」がその役割を担います。

品質を決める「クリンプハイト(圧着高さ)」

圧着の良し悪しを決定づけるのが、端子を潰した後の高さである「クリンプハイト」です。端子メーカーは、使用する電線の太さに応じて0.01mm単位で適正な高さを規定しています。

  • 潰しすぎ(低すぎる): 導体が切断されたり、端子がひび割れたりする原因になります。
  • 潰し不足(高すぎる): 導体が抜けやすくなり(引張強度の低下)、隙間ができることで電気抵抗が上がり発熱の原因となります。

イー・エス製作所では、数百種類に及ぶアプリケータを保有し、定期的にマイクロメーターでクリンプハイトを測定、引張強度試験を実施することで、常に安定した高品質な圧着加工を実現しています。

保有している設備一覧を見る
技術紹介トップへ戻る