ワイヤーハーネス加工において、接合部の不良は重大な事故や機器の故障に直結します。自社加工での失敗やトラブルシューティングに役立つ、具体的な不良事例と正しい加工ノウハウを解説します。
アプリケータの調整不足やセッティングミスにより、以下のような圧着不良(NG)が発生するリスクがあります。
状態: 芯線を圧着する部分(ワイヤーバレル)に、電線の被覆(絶縁体)まで入り込んで一緒に圧着してしまっている状態。
リスク: 被覆が挟まることで導通不良(電気抵抗の増大)や断線を引き起こし、発熱・発火の原因となります。
状態: ワイヤーバレルから先端に出る芯線が長すぎる、または全く見えない(奥まで届いていない)状態。
リスク: 長すぎると相手側コネクタとの嵌合(かんごう)を阻害したり、隣のピンとショートする危険があります。短すぎると引張強度が著しく低下し、抜けやすくなります。
状態: ワイヤーバレルの端に設けるラッパ状の広がり(ベルマウス)が無い、または大きすぎる状態。
リスク: ベルマウスがないと、圧着の端部でエッジが立ち、振動などによって芯線が傷つき断線(金属疲労)を引き起こします。
状態: 連鎖状の端子を切り離した際に残る「タブ(突起)」が長すぎる状態。
リスク: コネクタのハウジングに挿入できなくなったり、挿入時にハウジング内部を傷つけてしまう原因になります。
圧着の前工程であるストリップ加工の精度も、最終的な品質を大きく左右します。
ノイズ対策用のシールドケーブルを加工する際は、シールドの機能を損なわず、かつショート(短絡)を防ぐための適切な端末処理が求められます。
編組シールドをほぐして束ねる方法のほか、外被(シース)の上にシールドを折り返して銅箔テープなどで固定する方法があります。これにより、コネクタのシェル(金属殻)と確実に接触させ、ノイズをアースへ逃がします。
アルミ箔シールド等に添えられているドレンワイヤーをアースピンに落とす際、ドレンワイヤーがむき出しのままだと他のピンに触れてショートする危険があります。必ず根元から熱収縮チューブを被せて保護・絶縁処理を行うのが基本的な加工ノウハウです。