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私たちの最も身近にある「低圧電線」

電気設備における「低圧」とは、原則として交流(AC)で600V以下、直流(DC)で750V以下の電圧を指します(※近年の再エネ普及に伴い、直流は1500V以下まで拡大されるケースもあります)。

家庭のコンセントに流れる100Vや、工場の機械を動かす200Vなど、私たちの生活や産業現場で最も幅広く使われているのが、この低圧電線・低圧ケーブルです。高圧電線のような分厚い絶縁やシールドは不要なため、比較的細くて扱いやすいのが特徴です。

盤内配線・ハーネスで活躍する3つの代表的な電線

ワイヤーハーネスや制御盤の内部配線としてよく使われる代表的な単心(1本芯)の絶縁電線として、IV線、HIV線、KIV線の3つがあります。見た目はよく似ていますが、それぞれ明確な違いがあります。

IV線(屋内配線用ビニル絶縁電線)

最もスタンダードな低圧電線です。英語の「Indoor(屋内) PVC(ビニル)」が名前の由来と言われています。

  • 耐熱温度: 60℃
  • 特徴: 一般的な建築物の屋内配線や、接地(アース)線として広く使われます。単線と撚り線(よりせん)のタイプがあります。

HIV線(二種ビニル絶縁電線 / 耐熱ビニル)

IV線の絶縁体(ビニル)に耐熱材を混ぜ、熱に強くした上位互換の電線です(HはHeat-resistantの略)。

  • 耐熱温度: 75℃(IV線より15℃高い)
  • 特徴: 熱に強いため、IV線と同じ太さの銅線でもより多くの電流(許容電流)を流すことができます。盤内の省スペース化(電線の細径化)に貢献します。

KIV線(電気機器用ビニル絶縁電線) ★ハーネス加工の主役

「可とう性(K:曲げやすさ)」に特化した電線です。

  • 耐熱温度: 60℃
  • 特徴: IV線の撚り線よりも、さらに細い銅線を数多く束ねて作られているため、非常に柔らかく断線しにくいのが特徴です。配線を複雑に曲げ回す制御盤内や、ワイヤーハーネスの部材として最もよく使われます。

さらに過酷な環境や環境配慮に応える高機能電線

盤内配線や機器内配線において、通常のビニル絶縁電線(KIVやHIV)では対応しきれない高温環境や、特別な安全基準が求められる場合には、以下のような高機能な電線が使用されます。

WL1 / MLFC(難燃性ポリフレックス電線等)

絶縁体に架橋ポリエチレン等の特殊な素材を使用した、熱に非常に強い電線です。

  • 耐熱温度: 105℃〜110℃(一般的な電線より圧倒的に高い)
  • 特徴: 耐熱性が極めて高いため、同じ太さのKIV線などと比べて圧倒的に大きな許容電流を流すことができます。柔軟性にも優れており、モーターの口出し線や、限られたスペースで大電流を扱う配電盤・制御盤の配線に最適です。

EM-KIE / EM-KIC(エコケーブル・環境配慮型電線)

KIV線などの絶縁体からハロゲン系物質(塩化ビニルなど)を排除した「エコロジー(EM)」なノンハロゲン電線です。

  • 耐熱温度: 75℃(EM-KIEの場合など)
  • 特徴: 万が一の火災時に、有毒なハロゲンガスや腐食性ガス、ダイオキシンを発生させず、煙の発生も少なくて済みます。官公庁の設備や、鉄道車両、密閉された空間(地下鉄や大型商業施設)の機器内配線で指定されることが増えています。

【早見表】低圧機器内配線用電線の特性比較図

盤内配線やハーネス加工で使われる代表的な電線の特性を比較しました。用途や環境に合わせて最適な電線を選定する際の目安としてご活用ください。

電線種類 耐熱温度 柔軟性
(可とう性)
許容電流
(同サイズ比較)
環境配慮
(ノンハロゲン)
IV 60℃
(硬い)
基準 ×
(塩化ビニル)
HIV 75℃
(硬い)
やや大きい ×
(塩化ビニル)
KIV 60℃
(極めて柔らかい)
基準 ×
(塩化ビニル)
WL1 / MLFC 105℃〜
(柔らかい)
特大 △〜〇
EM-KIE 75℃
(KIVと同等)
やや大きい
(有害ガス出ず)

※上記は一般的な特性の目安です。実際の許容電流や仕様は、各電線メーカーのカタログや使用環境により異なります。

低圧電線を選ぶ際の「許容電流」の重要性

電線には、安全に流すことができる電流の上限値「許容電流(きょようでんりゅう)」が定められています。
電気を流すと銅線は発熱しますが、許容電流を超えた電気を流し続けると、発熱によって被覆が溶け、最悪の場合は発火やショートを引き起こします。

許容電流は「電線の太さ」だけでなく、上記の表にある「電線の耐熱温度」「周囲の温度(環境温度)」、そして「束ねて配線するかどうか(低減係数)」によって大きく変化します。
ワイヤーハーネスのように何本もの電線を束ねて保護チューブに入れる場合、熱が逃げにくくなるため、単独で配線する時よりも流せる電流量は少なくなります。

最適な電線選定と加工はプロにお任せを

「ただ電気が通れば良い」と安易に細いIV線を選んだり、間違ったサイズの圧着端子を使用したりすると、重大な機械トラブルの原因となります。

イー・エス製作所では、お客様の機器の仕様や使用環境(温度・振動・電流値など)をしっかりとヒアリングした上で、KIV線やHIV線、あるいは高温に耐えるWL1(MLFC)やエコケーブルなどの最適な低圧電線を選定いたします。また、柔らかいKIV線の極細導体を一切傷つけない高精度なストリップ・圧着加工により、長期間安心して使えるワイヤーハーネスをご提供します。

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