設計・基礎知識

ワイヤーハーネス・ケーブルの許容曲げ半径の規定

1. 許容曲げ半径(Bending Radius)とは

許容曲げ半径とは、ケーブルやワイヤーハーネスの性能を損なうことなく曲げることができる「最小の半径」のことです。一般的にケーブルの仕上がり外径(D:Diameter)の倍数(例:4D、6D)で表されます。
この規定を無視して極端に鋭角に曲げると、内部の導体が断線したり、絶縁体の白化・割れ、シールドの破損などを引き起こし、重大な品質不良や通信障害に直結します。

2. 固定配線と可動配線での一般的な基準

ハーネスが機器内でどのように使用されるか(動くか、固定されるか)によって、求められる曲げ半径の基準は大きく異なります。

【固定配線(Fixed Routing)】

機器の内部で一度配線されたら動かない(静置される)部分です。
目安:ケーブル外径の 4倍 〜 6倍(4D 〜 6D)以上
※シールド付きケーブルや多芯ケーブルなどの場合は、柔軟性が落ちるため少し大きめ(6D以上)に設定することが推奨されます。

【可動配線(Movable / Flexing Routing)】

ロボットアームやスライダーなど、稼働中に繰り返し曲げ伸ばしが行われる部分です。
目安:ケーブル外径の 8倍 〜 10倍(8D 〜 10D)以上
※ケーブルベア等への収納時などは、さらに大きなR(半径)を持たせる必要があります。また、摩擦や屈曲疲労に耐えうる専用の可動用ケーブル(ロボットケーブル)を選定することが重要です。

3. 材質による影響と極細同軸ケーブルの注意点

ワイヤーハーネスの被覆材にはPE(PVC)などが用いられますが、材質によって柔軟性や硬さが異なるため、メーカーのカタログや仕様書で指定された固有の曲げ半径を厳守する必要があります。

極細同軸ケーブル(Micro-Coaxial / Twinaxial)の取り扱い:
パソコンのヒンジ部や精密機器などで使われる極細同軸ケーブルは非常に繊細です。単なる曲げ(Bending)だけでなく、屈曲(Flexing)やねじり(Twisting)に対しても、コネクタメーカーやケーブルメーカーから厳しい要件が規定されています。配線経路を設計する際は、ケーブルに無理な張力がかからず、自然なU字を保てるよう適切なクリアランス空間を確保することが不可欠です。

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