1. 国内電線メーカーの動向
- 住友電気工業:7月31日に第1四半期決算を発表。売上高1兆3,306億円、営業利益971億円で大幅増収増益。生成AI市場拡大に伴う光配線機器等の需要増が牽引し、通期予想を上方修正。
- 古河電気工業:第1四半期決算は8月6日発表予定。AIデータセンター・再エネ関連の需要拡大を背景に26年3月期は増収増益。
- SWCC:直近本決算は売上高2,777億円。合弁先だった汎用ケーブル会社SFCCの完全子会社化を進めている。
- プロテリアル:電線・自動車部品事業を27年4月に会社分割し子会社化する計画。7月27日付で電線事業の人事異動を発表。
※電線御三家はAI・再エネ・車載向け需要の拡大が業績を押し上げている。
2. 電線新聞社の主要記事概況
- 伸銅品生産量、1〜6月累計で前年同期比4.1%増(7月29日付・日刊産業新聞)
- 亜鉛建値が最高値69万1,000円、銅建値236万円に改定(7月28日付・日刊産業新聞/日刊鉄鋼新聞)
- プロテリアルの電線事業人事異動を掲載(7月27日付・日刊鉄鋼新聞)
- 電線各社、中東情勢緊迫化による被覆材コスト上昇を受け、産業・機器用電線を中心に価格転嫁が進行中
3. 国内銅建値の週次変動(JX金属)
| 改定日 |
建値(円/トン) |
前回比 |
| 7月24日 |
2,320,000円 |
▲50,000円 |
| 7月28日 |
2,360,000円 |
+40,000円 |
7月28日、JX金属は電気銅建値を過去最高値の236万円へ改定。LME銅価格の上昇とドル円の円安進行が主因。7月の月内推定平均は229万7,200円。
4. LME 銅価格の週次変動
- 7月29日:LME銅スポット 13,605.04 米ドル/トン、COMEX銅先物は1ポンド6.376 ドルで引け。
- 7月30日:COMEX銅先物は1ポンド6.44ドルまで上昇(前日比+2.49%)。FOMCの政策金利据え置き決定と、AI向け需要の長期見通しが下支え。
週を通じて上昇基調で推移し、これが国内建値の最高値更新につながった。
5. 為替の週次変動と建値への影響
- 7月20日〜24日週:ドル円は163.988円まで上昇し約40年ぶりの164円台が視野に。
- 7月27日〜31日週:FOMCや日銀会合を控え、予想レンジは162円台後半〜165円台前半。
円安の進行がドル建てで決まるLME銅価格の円換算コストを押し上げ、国内建値の高止まりを後押ししている。
6. 自動車・EV・半導体の生産動向
- ネクスペリア問題の影響が長期化し、ホンダ等が生産調整を実施。
- 中国での直近生産実績は、トヨタ・ホンダ・日産が前年比2桁減。
- ルネサスエレクトロニクスのインド工場が商業生産を開始。AIインフラ向けの追い風と車載向けの減速による「需要の二極化」が鮮明に。
7. データセンター・電力インフラ建設
- 電力大手8社がデータセンター向けに送電網を全国30カ所で新増強すると発表。
- 国内のデータセンター電力需要は2034年度に約13倍の616万kWへ急増見通し。
- マイクロソフト日本法人が1.6兆円規模の投資で地方に拠点を展開。
建設ラッシュにより、高圧・低圧電線双方の需要が構造的に押し上げられている。
8. 主要材料の納期・需給状況
- 端子・コネクタ用材料を含む伸銅品の生産量は堅調(1〜6月累計で前年同期比4.1%増)。
- 被覆材(樹脂等)コストの上昇による価格転嫁が進行中。
- 車載向け半導体(成熟プロセス)はタイトな需給が続く一方、産業機器向けは正常化の兆し。
- コネクタ加工に使う金・銅の価格高騰がメーカーの利益を圧迫している。
9. ハーネスメーカーの生産状況
- 住友電工グループは「セット工法」を導入し、リードタイムを大幅に短縮。2030年代に100%デジタル化を目標。
- 矢崎総業と住友電装はモロッコに新工場を建設。欧州向け生産拠点の分散・強化を図る。
- 各社とも銅高・円安によるコスト上昇圧力に対し、工程自動化やコスト転嫁で対応している。
10. 価格改定・値上げ情報
- フジクラ・ダイヤケーブル:各種電線を4〜7%値上げ(6月より順次)。
- 矢崎エナジーシステム:4月14日付で電線・ケーブルの価格改定を発表。
- コネクタメーカー:金・銅価格高騰による原価上昇のため、追加の価格改定圧力がくすぶっている状況。